てつこ線路内人立ち入りってどういう意味?



線路内人立ち入りとは、「線路内に人がいる状態」を意味する鉄道用語です。
「線路内に人が立ち入っているため、この電車は運転を見合わせています。」
電車に乗っていて、上記のような放送を聞いたことはある人も多いのではないでしょうか。鉄道用語で、線路内に人が立ち入っていることを「線路内人立ち入り」と呼びます。
この記事では、元鉄道員である筆者が、線路内人立ち入りの具体的な事例・罰則・賠償などについて解説します。
この記事を読めば、線路内人立ち入りが発生したときの運転士の対応方法もわかるので、理解が深まります。
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線路内人立ち入りの具体的な事例・影響


線路内人立ち入りの具体的な事例や影響を解説します。
わざと線路に侵入する事例
線路内人立ち入りは様々な要因で発生しますが、「わざと線路に侵入する」ケースが非常に多いです。
具体的な線路内立ち入りの事例は以下のとおりです。
- 踏切が閉まっているのに、線路を渡る
- 落とし物を取るために、ホームから線路に降りる
- 良い写真を撮るために、線路へ立ち入る



電車に轢かれてしまう可能性があるので、絶対やめてください!
上記のように「わざと線路に侵入する」ケースは、本人が思う以上にに周囲へ大きな迷惑をかける可能性があります。
鉄道の運行に与える影響
たった一人の「線路内人立ち入り」が、何万人という利用者の足を止めてしまうのが鉄道の特性です。
線路内人立ち入りが確認されると、付近を走る全ての列車に停止信号が出され、安全が確認されるまで動くことができません。また、その影響は直通運転している路線にまで広がります。



他の線路にも立ち入る可能性があるので、付近の列車も止める必要があります。
朝の通勤時間帯に線路人立ち入りが発生した場合、「線路内人立ち入り」は膨大な数の人々の生活に支障をきたすことになります。
「線路内人立ち入り」という一人の軽率な行動が、社会全体に大きな損失を与えることを忘れないでください。
線路内人立ち入り発生時の運転士・車掌の対応


線路に人が立ち入っているのを見つけたら、運転士や車掌が「防護無線」という無線を付近の列車に発報します。(ボタンを押す)
防護無線を受信した列車の運転台では、「ピピピピピ」という音が鳴り響き、運転士・車掌は列車を非常停止させます。



線路に立ち入ったのを見つけた列車はもちろん、付近の列車も非常停止するのがポイントです。
線路に立ち入っている人が、他の線路に移動してしまうかもしれないので、付近の列車も非常停止します。



指令所が、付近の列車が確実に止まっていることを列車無線で確認します。
その後、指令所(運行を管理する部署)から線路への立ち入りの許可を得た運転士が、立ち入った人の保護に向かいます。
線路内人立ち入りに関する法律や罰則


「線路内人立ち入り」は、単なる迷惑行為ではなく法律で禁じられた犯罪になる可能性があります。どのような法律が適用され、どのような罰則があるのかを確認しておきましょう。
鉄道営業法第37条
日本では、鉄道営業法第37条により、鉄道施設への無断立入りが明確に禁止されています。
第三十七条 停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ科料ニ処ス
e-Gov 法令検索公式サイト:鉄道営業法
鉄道営業法第37条では、正当な理由がなく鉄道地内に立ち入ってはならないと定められており、線路内や保守用地などへの立入りは原則として認められていません。罰金等臨時措置法が適用され、1万円未満の科料(かりょう)が科せられます。
上記のように、「線路内人立ち入り」は行為の内容や影響の大きさによっては、科料などの対象となる可能性も否定できません。
特に、「線路内人立ち入り」で列車の運行に支障を与えたり、危険を伴う場合には鉄道営業法に基づき重い責任が問われることがあります。
刑法234条:威力業務妨害罪
線路内への立入りによって列車の運行が停止・遅延するなど、鉄道会社の業務を妨害した場合、刑法第234条の威力業務妨害罪が適用されることがあります。
(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
e-Gov 法令検索公式サイト:刑法
威力業務妨害では、鉄道会社だけでなく多くの利用者の移動の権利を侵害する行為としても扱われ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
刑法第125条:往来危険罪
線路内人立入りで列車の脱線や転覆に至る具体的かつ重大な危険を生じさせた場合には、刑法第125条(往来危険罪)が適用される可能性があります。
(往来危険)
第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
e-Gov 法令検索公式サイト:刑法
さらに、危険を過失によって生じさせた場合には、刑法第129条(過失往来危険罪)が適用されます。
(過失往来危険)
第百二十九条 過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、三十万円以下の罰金に処する。
e-Gov 法令検索公式サイト:刑法
線路内人立ち入りは、鉄道営業法の違反にとどまらず、上記のような刑法(往来危険罪など)も適用される危険な行為です。
線路内人立ち入りを目撃した時の正しい対処法


もしあなたが駅のホームや踏切で、線路内人立ち入りを目撃したらどうすべきなのか、解説します。
迅速かつ適切な行動が、誰かの命を救い、大きな事故を防ぐことに繋がります。
【大前提】自ら線路に降りて助けようとする行為の危険性
人を助けたいという正義感は尊いものですが、自ら線路内人立ち入りをして助けに行くのは非常に危険です。
二次被害のリスクがあり、上記のXポストにあるように、救助者自身が列車にはねられる事故(新大久保駅 乗客転落事故など)も発生しています。
非常停止ボタンのブザーが鳴り響いてる場合でも、絶対に線路には立ち入らないでください。
列車非常停止ボタンを躊躇せずに押す
線路内に人がいるのを見つけたら、まずは周囲の安全を確認し、設置されている「非常停止ボタン」を押してください。
- ホームの柱や踏切のそばにある赤いボタンを探す
- 「もし間違っていたら」と考えず、危険を感じたらすぐに押す
- ボタンを押すと周囲の信号が赤になり、列車に停止を知らせる
「非常停止ボタン押していいのかな?」という迷いが、数秒の遅れを生み、悲劇に繋がることがあります。
命に関わる緊急事態においては、勇気を持って「非常停止ボタン」を押してください。
駅員や緊急連絡先への速やかな報告
非常停止ボタンを押した後は、すぐに駅員に状況を説明するか、踏切などの場合は記載されている連絡先に電話をしましょう。
線路内人立ち入りがどの場所で、どのような状況で起きているかを正確に伝えることが重要です。
- 発生場所:駅名、何番線か、踏切の名称など
- 立ち入り者の特徴:服装、年齢層など
- 現在の状況:線路に降りたままか?歩いているか?など
線路内人立ち入りに関する情報は、鉄道会社が迅速に運転を再開するための判断材料になります。
線路内人立ち入りに関するよくある質問(Q&A)
- 線路に物が落ちたとき、駅員さんがいなかったらどうすればいいですか?
-
絶対に自分で拾おうとせず、改札口まで行って駅員を呼んでください。
たとえ小さな物でも、線路内人立ち入りを自ら行うことは命に関わる危険な行為です。
駅員は専用の道具を使って安全に回収してくれますので、プロに任せるのが鉄則です。
- 線路内人立ち入りで電車が止まったとき、別の電車に乗り換える料金はかかりますか?
-
鉄道会社が「振替輸送」を実施している場合は、すでにお持ちの切符や定期券で指定の他社路線を無料で利用できます。
ただし、ICカード(SuicaやPASMOなど)の残高を利用して改札を通る前の場合は、振替輸送の対象外です。
駅のアナウンスや公式サイトの情報を確認し、適切な手順で移動するようにしてください。
- 線路内人立ち入りをした犯人は、その後どうなるのですか?
-
警察に連行され、厳重注意や取り調べを受けることになります。
悪質性が高い場合や過去にも同様の行為がある場合は、鉄道営業法違反や業務妨害罪で起訴される可能性もあります。
また、鉄道会社から多額の損害賠償を請求されるケースもあるので、絶対に線路内には立ち入らないでください。
- 電車の中にいるときに線路内人立ち入りで止まったら、外に出ることはできますか?
-
列車のドアを勝手に開けて外に出ることは、線路内人立ち入りをさらに増やすことになり、非常に危険です。
隣の線路を別の列車が走っている可能性もあり、二次災害に繋がる恐れがあるからです。
必ず乗務員のアナウンスに従い、車内で安全に待機するようにしてください。
まとめ:線路内人立ち入りについて元運転士が解説しました!






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